2021年1月~6月のセキュリティ動向
本内容は、アンラボコリアより発表された内容を翻訳したものです。
--------------------------------------------------------------------------------------------
標的型ランサムウェア攻撃の増加
今年1月~6月の間に世界中の数多い企業が標的型ランサムウェアによる攻撃を受けた。
攻撃者は、企業や機関に侵入して情報を盗み、ランサムウェアに感染させた後、金銭を支払わない場合盗んだ情報を外部に公開すると二重で脅迫した。「RaaS (Ransomware as a Service、サービス化したランサムウェア」 方式で流布された事例も多数確認された。
一度被害を受けた企業や機関は再び脅迫の対象になり得るため、セキュリティソリューションの活用のみならず、社員向けセキュリティ教育を強化するなど、ランサムウェア攻撃に常に備えなければならない。
組織のインフラソリューションを悪用する攻撃の頻発
昨年から今年6月まで、特定のペネトレーションテスト (侵入テスト) ツールのハッキングバージョンを利用した AD サーバー(*) の搾取の試み、および IT セキュリティ管理ソリューション 「Kaseya VSA」 の脆弱性を利用したランサムウェアの流布など、組織のインフラソリューションや供給網を悪用する攻撃が後を絶たない。
組織内部のリソース管理やサービスの提供に使用されるソリューションを攻撃者によって支配されると、組織はもちろんのこと、サービスを利用する顧客にもランサムウェア感染や情報搾取などの大きな被害が及ぶ恐れがある。
攻撃者は、上記以外にも、コロナ禍で広く普及したテレワーク環境でよく使用される VPN (仮想プライベートネットワーク) ソリューションの脆弱性を利用した攻撃も積極的に行った。
一般的に組織では、外部から流入する攻撃に対しては敏感に対応するが、すでに組織内で使用されているプログラムやファイルに対しては簡単に信頼してしまう傾向がある。従って、組織のセキュリティ管理者は、一般的なセキュリティポリシー以外にも、IT (脅威インテリジェンス) サービスを活用して情報を収集するなどの対応力を高める努力を続けなければならない。
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
* アクティブディレクトリ (AD) サーバー:ユーザー、ユーザーグループ、ネットワークなどの多数のシステムと繋がってリソースを効率的に統合管理できる AD (アクティブディレクトリ) サービスを提供するサーバー。該当アカウントが搾取される場合、攻撃者が内部システムを支配できる権限を持つようになる。
業務メールを装った情報搾取型マルウェアの流布
アンラボセキュリティセンター (ASEC) が収集したマルウェア分析統計によると、今年1月~6月に最も多く発見されたマルウェアは、Formbook、AgentTesla に代表される情報搾取型マルウェアである。
このマルウェアの大半は、送り状、発注書、注文書などを装ったメールの添付ファイルもしくはメール本文に記載された悪性 URL の実行を誘導する方式で流布された。特に、信頼度の高い企業を詐称したり、自然な文章で書かれている場合が多く、少し油断するとマルウェアに感染してしまう恐れがある。
流出した情報は標的型攻撃などの2次攻撃に利用される可能性があるため、ユーザーはメールの送信元情報や添付ファイルを注意深く確認し、送信元の不明なメールの添付ファイルや URL を実行しないようにしなければならない。
積極的なソーシャルイシューの活用
社会的に関心を集める話題の活用は攻撃者が頻繁に用いる方法である。
1月~6月には特に新型コロナウイルスに関するキーワードを使用した攻撃が多数発見された。
Eメールに悪性ファイルや URL を添付したり、SMS 内に悪性 URL を添付してタップを誘導するなど、攻撃手法も様々であった。
今後も攻撃者はユーザーを騙すために生活密着型キーワードを活用する可能性が高く、ユーザーは SMS やメール内の不明な URL の実行を控え、イシューを検索する際には検証された Web サイトやプラットフォームを利用するようにしなければならない。
国家支援を受けるハッカー集団の活動
1月~6月に特定国の支援を受けていると推定されるハッカー集団の活動に関する報告書が多数発表された。報告書によると、このハッカー集団の活動は特定の分野に限らず、政治・社会・経済・文化・防衛産業・仮想通貨など、多岐にわたっている。特に新型コロナウイルス感染者の増加により、国内外の製薬会社をターゲットにした攻撃の試みが行われた。
攻撃手法も、IE、Chrome などの Web ブラウザ脆弱性の悪用、Web ブラウザと連動して実行されるプログラムの脆弱性の悪用、フィッシングサイトの作成など、次第に高度化している。
個人と組織は、使用中のすべてのプログラムを最新バージョンにアップデートし、セキュリティパッチを適用するなどのセキュリティルールを守る必要がある。