【分析レポート】 Ursnif 報告書_Ver. 1
01. 概要
分析の対象となるサンプルは、次のとおりである。各ファイルのハッシュを含む詳細情報は、[03. 対策と予防] で確認できる。

[表 1] サンプル情報
02. 分析
1) 要約
Gozi、ISFB、Dreambot とも呼ばれる 「Ursnif」 は、ユーザー情報を搾取し、C&C サーバーからデータを受信して悪性行為を遂行するマルウェアである。金融情報を搾取することを主な目的としている。
当該マルウェアは、迷惑メールの添付ファイルで感染する。添付ファイルの形式は、MS Office 脆弱性 (CVE-2017-0199) で知られる RTF 形式および悪性マクロが含まれた DOC 形式である。
ダウンロードされた Ursnif は、Visual C++でコンパイルされたファイルや VB およびカスタムパックなど、さまざまな形をしているが、内部の構造はすべて同じであり、暗号化された DLL が含まれている。
Ursnif は、暗号化された DLL をメモリ上で復号化した後、最終的にシステムに存在する正常な explorer.exe にインジェクションして動作する。explorer.exe プロセスが悪性行為をしているように見えるが、実際はインジェクションされた DLL が悪性行為を行っている。

2) 主要機能および特徴 – [Ursnif]
ア) Anti-VM
- VM 回避のために GetCursorInfo API を活用
Ursnif は、VM によるマルウェア検知を回避するため、自らが動作する間、マウスカーソル位置の変化を確認して、悪性行為に使用される文字列を復号化する。Ursnif が動作する間にマウスカーソル位置の変化がない場合は、悪性行為は行われず、無限ループする。

- VM が使用するレジストリキーを参照するため、SetupDiGetDeviceRegistryPropertyA API を活用
Ursnif は、SetupDiGetDeviceRegistryPropertyA を活用して、VM で使用するハードウェア情報を確認する。
API を呼び出し、VM と関係があるハードウェア名があった場合は、自らを終了させ、悪性行為を行わない。(※ ハードウェア情報に vbox、qemu、vmware、virtual hd 文字列が含まれていない場合のみ、悪性行為を行う)

イ) レジストリ登録
- 自動実行のためのレジストリに自らを登録


[表 3] レジストリ登録
ウ) DLL インジェクション
- 悪性行為の遂行に必要な DLL をシステムプロセスにインジェクション
Ursnif のリソースセクションには、次のような暗号化された PE ファイルバイナリが含まれている。

上記のバイナリは、Ursnif の復号化ルーチンにより復号化され、explorer.exe プロセスにインジェクションされる。
本報告書では、インジェクションされた DLL ファイルを、[図 1] のように、Decoded DLL と表記する。
[図 3] は、復号化された Decoded DLL の一部である。
[図 3] 復号化された DLL
Decoded DLL は、別途のファイルで作成されず、explorer.exe にインジェクションされ、メモリに常駐する。
Decoded DLL の .bss セクションは、暗号化された文字列を含んでおり、当該文字列を復号化すると、悪性行為に必要な以下の文字列を確認することができる。

3) 主要機能および特徴 – [Decoded DLL]
ア) ユーザー情報の搾取
- Web ブラウザのアカウントパス、E メール関連プロトコルの設定情報などを参照し、ユーザー情報を搾取
Decoded DLL は、以下のような Web ブラウザが保存するログイン情報パスを参照して、ユーザー情報を搾取する。

[図 4] %TEMP% に保存されたユーザー情報およびパケット情報が含まれた PK 圧縮ファイル
イ) Tor クライアントモジュールのダウンロード
- C&C サーバーとの通信を隠ぺいするため、Tor クライアントモジュールを使用
Ursnif の形によって、Decoded DLL は、特定サイトから 2.32MB の暗号化されたデータをダウンロードする。当該データは Tor クライアントの DLL モジュールであり、Ursnif が特定の C&C サーバーと通信することを隠ぺいするためのものである。ダウンロード後、Tor クライアントモジュールの情報が以下のレジストリに保存される。
[表 4] Tor クライアントモジュール関連レジストリ
ウ) C&C サーバーへのアクセス
- Decoded DLL が Explorer.exe にインジェクションされアクセスする C&C サーバー情報
Tor クライアントのダウンロードアドレスは Ursnif の形によって異なるが、分析したファイルの場合は、以下のアドレスにアクセスしていた。
[表 5] Tor クライアントモジュールのダウンロードのためにアクセスしたアドレス
また、Ursnif は、以下の C&C サーバーにアクセスして設定ファイルを追加でダウンロードする。日本のオンラインバンキングサイト情報も当該設定ファイルに含まれていると判断されるが、現在は C&C サーバーから設定ファイルをダウンロードすることはできない。

03. 対策と予防
1) アンラボにおける対策
アンラボでは、当該マルウェアを以下のように検知できる。
2) 予防対策
