スマートフォンの少額決済を狙った亜種のマルウェア急増
スマートフォンの少額決済を狙った Android のマルウェア 「Chest」 の亜種が急増し、被害も増加しています。
グローバルセキュリティ企業である株式会社アンラボ (代表取締役:キム・ホンソン、www.ahnlab.com、旧アン・チョルス研究所、以下アンラボ) は、昨年 10 月から被害を与えている Android のマルウェア 「Chest」 の亜種が2013年に入って急増していると明らかにしました。2012年第4四半期に14種が発見されましたが、2013年1月から3月7日現在までに225種が発見されており、前期に比べて、16倍にもなります。
「Chest」 の拡散方法は、従来と同じですが、ソースコードがいくつか追加/変更されたのが特徴です。飲食店、映画等、様々な有名ブランドに装った無料クーポンの案内と URL をメッセージで送信し、ユーザーを魅了しています。ユーザーが思わず URL をクリックして、そのページからアプリケーション(以下、アプリ)をインストールすると、本人も知らないうちに、少額決済が行われ、金銭被害を受けることになります。アンラボは、近年発見された 「Chest」 の亜種を分析し、アンラボコリアの 「ASEC BLOG」 にて詳細を発表しました(http://asec.ahnlab.com/920)。
アンラボコリアの 「ASEC BLOG」 によると、マルウェアの作成者は、事前に入手した情報を元に、SMS(マルアプリのインストール誘導メッセージ)の受信者(ターゲット)を Web 画面にて管理および監視することが明らかになりました [図 1]。

[図 1] マルウェアの作成者が管理するスマートフォンの電話番号リスト
マルウェアの作成者はターゲットを決めると、「アプリをインストールするとカフェラテ + チーズケーキが無料」 等のユーザーを魅了する内容と URL をテキストメッセージで送ります [図 2]。

[図 2] マルアプリのインストール誘導メッセージ
ユーザーが短縮 URL をクリックしてアプリをインストールすると、有名コーヒー専門店を装ったアイコンが作成され、サービスに登録されます [図 3]。

[図 3] マルアプリのインストール画面(左) / 実行中のサービスリスト(右)
ユーザーがマルアプリを実行すると、「現在アクセスが集中しており表示しにくい状態となっております。申し訳ございませんが、しばらく時間を置いてからアクセスするようお願いいたします。」 というメッセージが表示されます。これは、被害者を騙すための偽のメッセージです [図 4]。

[図 4] ユーザーを騙す為のメッセージ
マルアプリが実行されるとキャリア情報とスマートフォンの電話番号がマルウェアの作成者に送信されます。マルウェアの作成者は情報を確保した後、すぐに少額決済を行い、受信された認証番号をユーザーに気付かれないように盗み金銭を奪取します。
既存のマルウェアの多くは、不特定多数をターゲットにして、個人情報を盗むことが主な目的でした。しかし、「Chest」 は、個人情報漏えい事故で流出した個人情報のうち、社会保障番号と電話番号を利用して特定のターゲットを定めるという点から、既存のマルウェアより進歩した形態だと言えます。
少額決済時に必要な認証番号のメッセージがユーザーに気付かれない、直接マルウェアの作成者に送信するように設計されており、直ぐに被害に気付くのは難しく、ユーザーは請求書を見てから被害に気付くという点や多くのユーザーがスマートフォンの使用内訳書をよく確認しない点から、今後同様の被害が発生する恐れがあります。
韓国では、スマートフォンの少額決済サービスの上限額が一人当たり毎月30万ウォンに制限されていますが、現在の市場規模が2兆8000億ウォンに達していることを考慮すると、全体の被害額が非常に大きくなることがあります。
アンラボコリアのイ・ホウン/セキュリティ対応センター長は、「ユーザーは、メッセージで送信された URL をクリックする時や、アプリのインストールには注意が必要です。また、サードパーティマーケットはもちろん、Google の公式マーケットでも安心せずにアプリに対する評判を確認した後にインストールし、新しいアプリは、1週間以上置いてから評判を確認しインストールする等の慎重さが必要です。更に AhnLab V3 モバイルのようなスマートフォン専用のセキュリティソフトを使ってスキャンをする習慣が必要です。」 と注意を呼びかけました。
-----------<参考資料>----------
※マルウェア 「Chest」 の動作概要

