[IT & セキュリティコラム] インターネットに放置された「廃墟」サイトたち
アメリカ人の大好きな余暇生活の 1 つに、「ショッピング」がある。「市場」はアメリカでは「モール」(mall) 形式が多い。大型商店街であるとも言える。モールに行けば、美味しいレストランや楽しい見物も可能で、噴水、木々、彫刻がある場合もあり、モール全体はキレイに保たれている。週末には、多くの人々で賑わう。アメリカ経済が底を打っていた 2008、2009 年にもショッピングモールは大賑わいであった。
ワシントン州に住む筆者が良く利用していた店は、「サーキットシティ (Circuit City)」と言い、アメリカで「ベストバイ (bestbuy)」に次ぐ規模の大型コンピュータ販売店だった。しかし、2007 年半ばから始まった経済悪化により、ワシントン州の幾つかの売り場が閉鎖された。ベストバイと共に、コンピュータと IT の動向を比較するのに便利だったこともあり、非常に残念な思いをしたものである。その後、その大きな建物は街の中心に看板を掲げたまま、2 年以上放置されている。大きくて賑わっているショッピングモールに、ぽっかり穴が開いたように人影のない廃墟の姿で。
幼い頃、近所に廃墟があるのがとても怖かった。真夏の伝説はそこから始まった。昼には入ることができても、夜には見るだけでも恐怖を感じたものだ。人のいない場所、廃墟がインターネットにも出現しはじめている。
インターネットホームページの代名詞「ブログ(- パーソナルメディアとして、誰でもホームページを持てるように簡単なシステムを備えた Webサイト および類似のものをここでは「ブログ」と呼ぶ)」がいっときは大きなブームとなった。むろん今もブログは活況を呈している。しかし、ブログの負の機能にも着目すべきであり、情報の無断盗用やプライバシー侵害などを理由に、ブログをやめるブロガー (blogger) も多く存在する。彼らが後にしたそのホームページは…? インターネットの廃墟となる。
インターネット ショッピングモールも同じである。最近発表された、韓国消費者院と韓国消費者連名が共同で調査した資料によると、インターネット ショッピングモールの半分以上が幽霊サイトだと言う。韓国の 8 つの自治体に通信販売業申告を行ったインターネットショッピングモール 10,454 をモニタリングした結果、45.7% に相当する 4,775 サイトのみが現在営業中であることが確認された。
ショックな結果ではないだろうか。一般的なホームページは、メンテナンスをやめるときにコンテンツを削除したり破棄するため、「閉鎖済み」ということが (おぼろげながらでも) わかる。一方、幽霊ショッピングモール サイトは、一見するときちんとした形態をとり続け、コンテンツがアップデートされないだけで、同じ姿で存続するため、運営しているかを確認するのが難しい。このような問題は、Web サイトが実際に人が住んでいるのではなく、人の「痕跡」と「気配」で存在する場所のため生じる問題なのである。
幽霊サイトであること知らずに閲覧し、個人情報を提供してログインしモノやサービスを購入申し込みして費用も支払ったのに、あとから「幽霊 サイト」だと分かった場合の補償はどうするのか? 運営者がいないのではなく、偶然 Web サイトを一時的に運営できない状態で発生した被害補償はどうするのか? 放置された幽霊サイトを通じて、訪問者同士で取引した行為とそれによる被害補償はどうするべきか?
すべて、「廃墟」サイトの問題であり、収拾するのが難しく、現実的には補償が期待できない問題ばかりである。
一時的でも、長期間でも営業しない場合は入り口に日付と理由を書いて置くのが礼儀であろう。休暇や席を外す時でさえ、メモを残すのが常識であるものなのに、インターネット サイト運営者が、自身が運営する Web サイトのメインページに「お知らせ」を表示したり情報を破棄する作業はさほど難しくないはずだ。すべて運営者の責任なのである。
不注意により放置された廃墟サイトで被害を受けないよう、注意事項を幾つか書き出してみた。
1. メインページ下段にある「運営会社」表記の有無を確認すべき。被害が発生した場合は届出が容易になる。
2. 掲示板の確認。掲示板にスパム情報 (広告、ポルノ情報など) があったり、会員の不満、掲示物が昔の日付のまま放置されている場合、疑ってみる必要がある。
3. 銀行振込より、カード決済を。カード情報が漏えいする可能性もなくはないが、問題が発生した場合にはカード会社に依頼し「支払い取り消し」ができるため。
4. 支払い完了後、すぐにメールがこない場合は疑ってみる。もちろんこれも、自動送信システムを備えている場合は逆の場合もある。
インターネットユーザー自らがショッピングモールやその他営利目的の Web サイトで廃墟サイトを判別するのは難しい。この問題は、国家機関の管理監督と社会団体のモニタリングが必要だが、法制度の面で電子商取引業者が運営する Web サイトは開業、譲渡、閉鎖などの届出および公表を義務化し、運営状況を定期的に監督して利用者、消費者の被害を最小化する必要がある。

IT コラムニスト キム・ヨンス