「2015年上半期の脅威 Top 5」 & 「2015年下半期の予測脅威 Top 5」
本レポートは、アンラボコリアより発表された内容を翻訳したものです。
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ここでは、アンラボのグローバルセキュリティ対応組織であるASEC(AhnLab Security Emergency response Center)専門家が選定した「2015年上半期の脅威 Top 5」および2015年下半期の予測脅威 Top 5」を紹介する。
< 2015年上半期の脅威 Top 5 >
1. 韓国を直撃した「ランサムウェア」
2015年4月、韓国のコミュニティサイトのバナーリンクを通じて広まったランサムウェア「CryptoLocker」は、上半期に最も注目されたイシューであった。
CryptoLockerは、主にEメールを通じて流布されるが、バナーなどの脆弱なWebページを通じて流布される場合もある。
ランサムウェア(Ransomware)とは、特定のファイルを暗号化し、暗号化の解除を条件に金銭を要求するマルウェアのことをいう。
韓国で発見されたランサムウェアの中ではCryptoLockerが最も有名であり、最近では、オンラインゲームファイルを狙う「TeslaCypt」、ファイルをエンコードする「Nabucur」、Eメールを通じて流布される「CryptoWall」などが頻繁に発見されている。
TeslaCyptとNabucurの場合は、アンチウイルス製品などを利用してファイルを復元できるが、その他のランサムウェアは復元キーがないと復元できないため、注意する必要がある。
韓国ではまだモバイルを狙ったランサムウェアは発見されていないが、海外ではモバイル端末の使用を制限することでユーザーに金銭を要求するランサムウェアが増加傾向にある。
2. 金融詐欺の継続的な増加
2015年上半期には、金融情報を狙った攻撃が韓国国内外で話題となり、海外では、金融会社を狙う「Dyre」が流行した。Dyreは、スパムメールにマルウェア「Downloader.Upatre」を添付し、ユーザーがファイルを実行するとシステムに保存された個人情報および金融情報を搾取するマルウェアである。2014年に初めて発見されて以来、継続的に増加している。
韓国にはファーミング(Pharming)と呼ばれるBanki類マルウェアの脅威が存在する。
Banki類マルウェアは、セキュリティ脆弱性を利用したDrive-By-Download攻撃、不要なプログラム(Potentially Unwanted Program)のアップデートモジュールを改ざんする手法など、攻撃手法が多様化している。
また、アンチウイルス製品による検知を回避するため、特定の応用プログラムでリモートコードを実行(DLL Planting)したり、システムファイルに悪性ファイルを挿入(Injection)する方法などを利用している。
3. 多様化・巧妙化した悪性メール
メールを通じたマルウェア感染は相次いで発見されている。
国際運送会社、金融会社からのメールに偽装する伝統的な手口によるマルウェア感染が増加し、MERS、安心転換融資のような社会的な話題を利用した手口も発見された。
2015年上半期にメールを通じて流布されたマルウェアのほとんどは、ランサムウェア、バックドア、ダウンローダー類のマルウェアであり、ファイルの暗号化および金融情報の搾取などでユーザーに大きな被害を与えた。
また、特定の人や組織を狙った標的型悪性メールである「スピアフィッシング」が更に巧妙化・高度化した形で登場しているため、注意が必要である。
4. 無線LANルーターおよびホームネットワーク製品への攻撃の増加
ハッカー集団「Lizard Squad」が2014年11月と12月に、マイクロソフトのXbox LiveとSony PlayStation NetworkへのDdoS攻撃を行った。彼らは、無線LANルーターをマルウェアに感染させて攻撃を行ったと知られている。無線LANルーターのみならず、IPカメラ(ベビーモニター)、CCTVなどの脆弱性が発見されており、これらに対する攻撃が増加している。
韓国でも無線LANルーターのセキュリティ脆弱性を利用してDNSサーバーアドレスを改ざんする事例や、ユーザーが有名サイトに接続する際に偽のWebページに誘導したりマルウェアを配布する事例が継続的に発生している。
製造メーカーが脆弱性を解決した最新バージョンのファームウェアを提供しているが、アップデートせずにそのまま使用しているユーザーが大半である。今後、インターネットに接続される機器への攻撃は更に増加すると予想される。
5. 応用プログラムの脆弱性の増加
2014年4月に暗号化ライブラリOpenSSL脆弱性であるHeartBleed(CVE-2014-0160)が公開されて以来、汎用的に使用されるプロトコルの脆弱性が次々に公開された。2014年9月にはBashシェルの脆弱性である「Shellshock(CVE-2014-6271)」、2014年10月にはSSL 3.0プロトコルの「Poodle(CVE-2014-3566)」脆弱性が発表された。Shellshock脆弱性は、マルウェアのダウンロードおよび実行に相変わらず利用されているため、セキュリティ上の大きな脅威である。
2015年上半期にも応用プログラムの脆弱性が公開された。年明けにLinux glibc ライブラリ関数のバッファオーバーフロー脆弱性である「Ghost(CVE-2015-0235)」、3月にSSLプロトコル関連の脆弱性である「Freak(CVE-2015-0204)」が報告された。そして4月に公開されたHTTP.sysリモートコード実行脆弱性(MS15-034、CVE-2015-1635)は、簡単なHTTPプロトコルレンジ(Range)ヘッダー操作により攻撃ができるため、多くの攻撃の試みが報告されている。
上記の応用プログラムの脆弱性は、ほとんどがサーバーに存在しており、緊急パッチ作業が多いセキュリティ/サーバー管理者を悩ませている。
2015年下半期にも応用プログラムの脆弱性が公開されると予想されるため、緊急パッチプロセスの整備が必要と思われる。
< 2015年下半期の予測脅威 Top 5 >
1. モバイル決済サービスのセキュリティ対策が必要
FinTech(Finance + Technology)の活性化により、電子決済プラットフォームがPCからモバイルに移りつつある。
スマートフォンがクレジットカードの役割をするため、モバイルセキュリティの重要性は益々大きくなると予想される。
海外では、過去にアップルペイで二重決済と盗用事件が発生したことがあり、また中国の有名決済プラットフォームであるアリペイでは脆弱性が見つかったことがある。
現在韓国では、Samsung、Naver、Cacaoなど、FinTechサービスが続々と登場している。まだ韓国のFinTechサービスで脆弱性が発見されたことはないが、マルウェア作成者が金銭搾取のために攻撃の対象にする可能性は非常に高い。FinTech関連会社はセキュリティ脅威に対する対策を講ずる必要がある。
2. モバイルランサムウェアの登場
多くの個人情報およびデータが保存されているスマートフォンは攻撃者にとって非常に魅力的な攻撃対象である。
海外ではさまざまな種類のAndroid端末を狙ったランサムウェアが発見されており、被害も増加している。
現在、Android端末を攻撃対象とするモバイルランサムウェアは、端末を正常に使用できないようにする手法やデータを暗号化する手法を主に使用している。
モバイルランサムウェアは、主にロシア、ヨーロッパ、北米などを対象にビットコイン、ロシアルーブルなどの金銭を要求するが、韓国でもモバイルランサムウェアが登場する可能性が高い。
有名アンチウイルス製品や金融アプリを詐称してスミッシングにより流布したり、海外のようにわいせつ物を利用して流布する可能性がある。
3. マルウェアの地域化および攻撃対象地域の拡大
マルウェアの地域化は約10年前から進んでいる。
2015年5月に日本で発生した個人情報流出事件に使用されたマルウェアは徹底的に日本人を狙ったマルウェアであった。
また、マルウェア作成者は収益を増やすために攻撃対象地域を拡大している。これまで韓国のインターネットバンキングユーザーを狙っていた攻撃者が日本に目を向けたり、主にヨーロッパで活動していたDyreが、アジア地域の銀行を攻撃対象に入れているのである。
マルウェアの地域化は徹底した現地化戦略とともに、収益の最大化のために地域と言語を拡大している。
4. 標的型攻撃(APT)の巧妙化
標的型攻撃は国家間のサイバー戦争と企業間の産業スパイ行為と関連して進化すると予想される。
米連邦人事管理局(OPM)、ドイツ連邦議会へのハッキングなど、特定の主体が支援する標的型攻撃の可能性が相次いで浮かび上がっている。このような攻撃の場合、常用およびオープンソースソフトウェアのゼロデイ脆弱性をベースにカスタマイズされたマルウェアが使用される可能性が高い。
カスタマイズされたマルウェアはセキュリティ専門家や企業もきちんと防御することができないほど高度な攻撃のため、特定の機関や企業がターゲットになった場合は大きな被害を受けることが予想される。
5. 激しさを増す応用プログラムの脆弱性を悪用する攻撃
最近発生しているセキュリティ事件の中で最も注目されているキーワードは断然「脆弱性(Vulnerability)」である。
これまではOracle Javaの脆弱性を利用した攻撃が活発に行われていたが、2014年下半期から2015年上半期にかけてはAdobe Flash Playerの脆弱性が主流となっている。
2015年上半期に話題になった有名コミュニティを通じたランサムウェア流布事件に利用された脆弱性(CVE-2014-0515)、最近イタリア企業「Hacking Team」情報漏えい攻撃に利用されたとされる脆弱性(CVE-2015-5119)、その他多数のゼロデイ脆弱性が公開されている。最近のゼロデイ攻撃は事件が発生するまで簡単に発覚されないため、脆弱性の利用期間を把握することが難しい状況である。
2015年下半期にもAdobe Flash Playerのような応用プログラムの脆弱性を利用したセキュリティ事件が相次いで発生すると予想される。被害を最小化するためにセキュリティ専門家とユーザーの努力が注意である。